姿勢も大切だ

音が高くなるごとに身体を前傾させ、あごを突き出すようにして発声するやり方は悪い例です。高音を出すための簡単な仕組みを理解できると、あごを突き出して高音を出すことが無駄なことに気づきます。

あごを突き出して発声するのは良くないのか?これを理解するには、高音を出すための簡単な仕組みを理解する必要があるのです。声帯は、ギターやベース、バイオリンなどの弦楽器の弦と同じようなものです。

ですから声帯が引っ張られて張力が高くなれば高い音が出るし、声帯がゆるめば低い音が出ます。そして、張力の強い弦を弾くにはピッキングの強さが必要になるように、張力の強い声帯を振動させるには、呼気の強さ、スピードが必要です。呼気の強さ、スピードを出すのがお腹の筋肉です。

お腹の筋肉に力を入れようと思ったら、重心は下がる。高い音を出すためには、重心を下げるイメージが必要になります。身体を前傾させてあごを突き出す必要はありません。

「頭に物のせトレーニング」
突然「高い音を出すときは、重心を下げるイメージを持つ」となっても、うまくはいかないもの。そこで、頭の上に物をのせて歌ってみようというわけです。危ないので落としても壊れないものやケガをしないものを使うこと。例えば、ノートなどを頭の上にのせて歌うことができれば、のどやあごで音程を取っていない良い状態。頭の上にのせて歌うと、普通は頭の上の物が落ちるか、音程が目標まで届かない。これを解決するには、お腹の支えと口の開き方が必要です。

「壁に額あてトレーニング」 
このトレーニングも、「頭に物のせトレーニング」と同じような効果がある。壁に額をあてて歌うことで、頭が動くことを完全に封印する。この状態で高音を出すとすると、あごで音程を取っていた場合はまったく歌えなくなる。この状態から抜け出すには、下あごをしっかり下に引き下げて口を大きく開き、お腹の筋肉を使って音程を目標まで届かせるしかない。下あごをしっかり下に引き下げて、口を大きく開く。